和紙講座に行ったらグローバルだった譚
紙が好きで、昔から紙問屋さんに1000枚の上質紙を注文してみたり 懐紙を集めたり洋紙を個人輸入したり。
紙に対する興味は尽きることがなく、ふとインスタグラムで見かけた和紙専門店のアップを見て、和紙講座に参加してまいりました。
せっかくなので忘備録としてブログにします。
株式会社WACCA JAPAN さんは、和紙製品の企画デザイン会社で
オンラインショップと実店舗で和紙製品を販売もしています。
センスのいいサイトで「和紙」のイメージがちょっと変わりました。
よくある「和」で迫るのではなくアートをイメージさせる和紙屋さんです。
時間ピッタリにつくようにと出かけて到着すると
既に3人の方が着席されていて目の前には資料が配られており
最後の参加者が到着するとほどなく講座が始まりました。
最初は和紙の原料について
和紙は主に「楮こうぞ」「三椏みつまた」「雁皮がんぴ」などの靭皮作られ
地域で採りやすいものを材料としていたらしい。
左から「楮」「三椏」「雁皮」「パルプ」
他にも「麻」や「竹」「木材パルプ」などなど。
原料によって質が違うのですが
漉いた工房によっても紙の質に違いがあってとても深くて興味深い世界です。
ただ、和紙の世界も日本の工芸・民芸・文化のご多分に漏れず、原料の入手からすでに苦慮している業界のようです。
主な原料の「楮」じたいが桑科植物でヒメコウゾとカジノキのハイブリッドで
それぞれの特徴がどのように出るかで繊維の質にも影響があるそうです。
「ソメイヨシノ」がクローンなのは種ができないからで「楮」も同じような植物であることから安定供給が難しいのは想像にたります。
クワ科ってだけで桑の実とかおいしそう。。と思ったら
やはり鹿などの動物被害で生産管理は大変だそうです。
和紙の生産には材料の安定確保難の他にも、膨大な手間や時間という問題もあり
手漉き製紙所は減少の一途とのこと。
やはりこだわりと使命感を持った人がいることで守られている世界のようで、絶滅が危惧される文化の一つのようです。
紙が来たのも神様のおかげ?
紙は西暦600年ごろには中国から朝鮮半島を経て来日したらしい。
そこにはやはり仏教伝来に関りが深く、口述伝承ではお経を伝えきれずに経典と共に紙がやってきたらしいという。
当時はやはり貴重なので日本人にとっては神様に等しい貴重な物の意味があるのでは。紙はまさに「神」な存在だったのでしょうね。
今見ても紙って不思議できれいな存在ですから当時の人にはほんとにありがたいものだったことでしょう。
貴族の「絹文化」に対する武士の「折型」
紙の語源は「神」という説があるらしく神社でも紙垂(しで)や人型など紙を神聖なツールとしてとらえているようです。
紙の扱いにしきたりを作ったのが武士社会でそれが「折型」として伝えられているそうです。
折型はまた世界が深くなるので私にはまだまだ未知。
熨斗やら包装やら折り紙などに通じる和紙の世界は広いなと感じました。
基礎、歴史や現状などを学びあっという間の2時間でした。
まだまだ知りたい事があったのでそのまま懇親会へ参加。
当日参加していたのは女性ばかりの5名ですが
ドイツで育った方や中国の方など職種もバラバラで
とてもバラエティーに富んだ参加者の面々でした。
それぞれに紙への興味は深く、同じ関心を持って受講しているので
とても楽しい時間を過ごすことができました。
とはいえ、知らないことばかりでもっともっと次から次へと疑問が湧いてきて
「これは紙沼だな」なんて思いました。
また何かのイベントに参加できればと思っています。